徳洲会病理部会がん分子病理セミナー2025 報告書
開催会名 | 徳洲会病理部会 がん分子病理セミナー 2025 | |
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開催日時 | 2025年1月11日(土)13時00分 ~ 16時40分 | |
開催方式 | 現地開催+Zoomライブ配信 | |
開催会場 | 大阪公立大学 医学部学舎 4階小講堂2 | |
〒545-8585 大阪府大阪市阿倍野区旭町1丁目4番3号 | ||
世 話 人 | 八尾徳洲会総合病院 病理診断科 中塚 伸一 | |
プログラム | 第1部 | 司会:中塚伸一(八尾徳洲会総合病院) |
1.分子生物学と分子病理学の基礎 | ||
大島健司(兵庫医科大学病理学分子病理部門) | ||
2.遺伝性疾患 | ||
孝橋賢一(大阪公立大学診断病理・病態病理学) | ||
3.遺伝子検査を考慮した病理検体の取り扱い | ||
鈴木彩菜(隈病院病理診断科) | ||
第2部 | 司会:孝橋賢一(大阪公立大学) | |
4.遺伝子検査各論I | ||
山元英崇(岡山大学医学部病理学(腫瘍病理学)) | ||
5.遺伝子検査各論II | ||
野島聡(大阪大学医学部病態病理学) | ||
6.CGPとがんゲノム医療の概要 | ||
山元英崇(岡山大学医学部病理学(腫瘍病理学)) |
上記の次第で徳洲会病理部会がん分子病理セミナー2025が開催された。
目的
徳洲会グループの多くの病院でがん診療の実績が増加しており、がんの病理診断の重要性は高まっている。今般、がんの病理診断を遂行する上で病理技師、病理医にとって分子病理学の知識は不可欠であるにもかかわらず、現状で病理技師、病理医の知識は必ずしも十分とは言えない。がんの病理診断に必要な分子病理学の知識を補足し、アップデートするため、本講習会を企画した。
参加者
事前申し込みが136名あり、参加者は106名であった。うち医師・歯科医師が37名、臨床検査技師およびその他の職種が69名であった。現地会場には37名の参加者が集い、69名がZoomでのライブ配信を視聴した。

大阪公立大学のセミナー会場の様子
次第概要
世話人の中塚伸一・徳洲会大阪病理診断研究センター長の挨拶で開会した。プログラムの開始に先立ち、青笹克之・病理部門最高顧問から徳洲会病理部会の歩みと現状について紹介があった。
第1部
司会:中塚伸一・徳洲会大阪病理診断研究センター長。
- 大島健司先生(兵庫医科大学病理学分子病理部門教授)による「分子生物学と分子病理学の基礎」の講義。がんの遺伝子検査を理解する上で必要な基本的な分子生物学と分子病理学の知識について概観的な解説があった。
- 孝橋賢一先生(大阪公立大学診断病理・病態病理学教授)による「遺伝性疾患」の講義。遺伝学の基本的知識の解説と遺伝性腫瘍の臨床病理学的特徴についての各論的な解説があった。
- 鈴木彩菜先生(隈病院病理診断科技師)による「遺伝子検査を考慮した病理検体の取り扱い」の講義。遺伝子検査の前提となる検体の量と質の担保の重要性、実地の病理業務上で注意すべき点、工夫について解説があった。

世話人・中塚大阪病理診断研究センター長(左上)、青笹病理部門最高顧問(右上)、
兵庫医科大学・大島先生(左下)、大阪公立大学・孝橋先生(右下)
第2部
司会:孝橋賢一先生。
- 山元英崇先生(岡山大学医学部病理学(腫瘍病理学)教授)による「遺伝子検査各論I」の講義。コンパニオン診断の概論と、近年、特にバイオマーカーの重要性が高まっている肺がんと大腸がんの領域で頻用される遺伝子検査について、原理、特性、検査の意義について解説があった。
- 野島聡先生(大阪大学医学部病態病理学准教授)による「遺伝子検査各論II」の講義。乳がんの領域について、近年の遺伝子発現パネルも含めた検査法の説明があり、関連する卵巣がん領域についても相同組替修復欠損(HRD)検査など最新の情報提供があった。
- 山元英崇先生に再登壇いただき、「CGPとがんゲノム医療の概要」について講義があった。現在行われている最も集約的な遺伝子検査である包括的ゲノムプロファイリング(CGP)についての概説と、エキスパートパネル、治験への橋渡しなど、がんゲノム医療の実際の運用について説明があり、本セミナーの最後をまとめていただいた。
最後に会場を提供していただいた大阪公立大学・孝橋賢一教授より閉会の挨拶があり、盛会のうちに締めくくられた。

隈病院・鈴木先生(左上)、岡山大学・山元先生(右上)、
大阪大学・野島先生(左下)、Zoomライブ配信の様子(右下)
総括
斯界の最先端で活躍する講師陣の解説で、分子生物学、遺伝学の基礎からがんゲノム医療まで順に追って体系的に学ぶ充実したプログラムであった。今回は現地開催とZoomライブ配信を合わせたハイブリッド開催ということもあり、多くの臨床検査技師の参加を得た。業務上、日常的にたくさんの遺伝子検査を扱いながら、まとまった時間をとって学習することがかなわない技師、病理医にとって、今回のセミナーは知識を整理し、新たな学習意欲を刺激する絶好の機会となったのではないかと考える。徳洲会グループ内だけでなく、さまざまな医療施設からも多数の参加者(グループ内30名、グループ外76名)を得たことは、当病理部会の情報発信力を多くの医療関係者に印象づけたと考えられる。なお、この度は外科医師(松原徳洲会病院)、内科医師(八尾徳洲会総合病院)が1名ずつ参加したが、今後は臨床腫瘍科を含む内科、外科、婦人科などの分子標的薬が治療手段の主体をなしている分野の医師についてもこの度のような研修の機会を設けるべきと考える。
文責:中塚伸一(八尾徳洲会総合病院病理診断科、徳洲会大阪病理診断研究センター長)
徳洲会病理部会 がん分子病理セミナー 2025開催のご案内
開催会名 | 徳洲会病理部会 がん分子病理セミナー 2025 |
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開催日時 | 2025年1月11日(土)13時00分 ~ 16時40分 (※12時30分より受付開始) |
開催方式 | 現地開催+Zoomライブ配信 |
世 話 人 | 八尾徳洲会総合病院 病理診断科 中塚 伸一 |
対象 | 病理医、病理技師、その他、がん診療に携わる医療従事者 |
参加費 | 無料 |
開催会場 | 大阪公立大学 医学部学舎 4階小講堂2 |
〒545-8585 大阪府大阪市阿倍野区旭町1丁目4番3号 | |
アクセス | JR天王寺駅、近鉄南大阪線阿部野橋駅、大阪メトロ御堂筋線、谷町線天王寺駅から徒歩約10分。 |
プログラム | フライヤーをご覧下さい。 |
●徳洲会病理部会がん分子病理セミナー2025_フライヤー(PDF) | |
参加申込方法 | 現地開催、Zoomライブ配信とも事前申し込み登録制です。申込書をダウンロードの上、 ①QRコードよりGoogle Formにアクセスし、申し込んで下さい。もしくは、 ②参加申込書に必要事項をご記入の上、FAXで徳洲会病理部会事務局までお送り下さい。 |
●徳洲会病理部会がん分子病理セミナー2025_参加申込書(Word)(徳洲会職員) ●徳洲会病理部会がん分子病理セミナー2025_参加申込書(Word)(グループ外参加) |
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参加申込受付期間 | 2024年11月1日(金)12:00 〜 12月20日(金)17:00 |
その他 | 日本臨床細胞学会 細胞診専門医、細胞検査士 単位申請中 |
終了後、希望者には講演内容を冊子にしてご指定の冊子送付先へ配布する予定です。 | |
お問い合わせ | 八尾徳洲会総合病院病理診断科内 徳洲会病理部会事務局 |
E-mail:yao-mc@tokushukai.jp、電話:072-993-8515(直通)、FAX:072-993-8567 |