第10回徳洲会病理部会学術集会
日時 | 2023年11月5日(日)午後2時00分~午後6時00分 | |
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2023年11月6日(月)午前9時05分~午後0時55分 | ||
場所 | 福岡徳洲会病院 4階講堂 (福岡県春日市須玖北4-5) |
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内容 | 特別講演1 | 柳井 広之(岡山大学病院病理診断科教授) 「子宮内膜細胞診の見方と考え方」 |
教育講演2 | 都築 豊徳(愛知医科大学病院病理診断科教授) 「泌尿器科腫瘍の病理(細胞診を含む)」 |
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シンポジウム |
【子宮内膜細胞診】 樋口 佳代子(沖縄協同病院病理診断科部長) 【病病連携について】 中島 明彦(徳洲会病理部会副部会長) |
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一般演題 |
内藤 航(湘南鎌倉総合病院) 山川 大地(成田富里徳洲会病院) 仲野 菜保(福岡徳洲会病院) 桒原 拓哉(成田富里徳洲会病院) 菅原 隆(湘南鎌倉総合病院) 後藤 沙綾(宇治徳洲会病院) |
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資料 | 第10回徳洲会病理部会学術集会抄録 ダウンロードはこちらから |
第10回徳洲会病理部会学術集会報告書
2023年11月5日、6日 会場:福岡徳洲会病院
徳洲会病理部会は11月5日から6日の2日間、第10回学術集会を福岡徳洲会病院で開催した。2014年5月に横浜駅前の会議センターで第1回徳洲会病理部会学術集会を開催して以来、回を重ねて本年は第10回の節目の集会となった。
学術集会の様子
福岡徳洲会病院病院長の乘富智明先生と徳洲会病理部門最高顧問の青笹克之先生の挨拶で開会した。第10回学術集会集会は合計50名(医師20名、病理技師28名、その他2名)の参加となった。

青笹 克之先生
(徳洲会病理部門最高顧問/徳洲会病理部会長)
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学術集会の企画、運営
学術委員長である丸山理留敬先生(山陰病理診断研究センター長/出雲徳洲会病院)と事務局により、特別講演、シンポジウム各2題、そして一般演題6題を設定した。また、1日目の冒頭に中島明彦先生(病理部会副部会長)の司会進行にて新任病理医師・病理技師紹介が行われた。2日目には江口光徳氏(宇治徳洲会病院)より技師運営委員会報告が行われた。
丸山 理留敬先生
(徳洲会病理部会学術委員長/徳洲会山陰病理診断研究センター) -
特別講演1
丸山理留敬先生(徳洲会山陰病理診断研究センター長)の司会のもと、柳井広之先生(岡山大学病院病理診断科教授)が「子宮内膜細胞診の見方と考え方」と題し講演。子宮内膜細胞診は、個々の細胞の異型を評価するだけでは理解が難しく、「患者さんの情報や各疾患の概念を考えながら、上皮細胞集塊の形状、形状の異常を占める集塊の割合などを意識しつつ観察することで、理解が容易になり、細胞診の限界も見えてきます」など解説した。
柳井 広之先生
(岡山大学病院病理診断科教授) -
特別講演2
鍋島一樹先生(徳洲会九州・沖縄病理診断研究センター長)司会のもと、徳洲会病理部会アドバイザーの都築豊徳先生(愛知医科大学副病院長、WHO腫瘍分類日本側代表委員)による「泌尿器科腫瘍の病理」をテーマに講演。明快な内容で、参加者の知見に資するところ極めて大であった。病理診断の第一歩である病理検体のホルマリン固定を適切に行うことの重要性が強調された。
都築 豊徳先生
(愛知医科大学病院病理診断科教授) -
シンポジウム
「子宮内膜細胞診」のシンポジウムでは、樋口佳代子先生(沖縄協同病院病理診断科部長)が座長を務め、外部シンポジストに矢野恵子先生(関西医療大学保健医学部臨床検査学科教授)、グループ病院からは伊達夏季氏(吹田)、坪佐朱莉氏(八尾)が事例を発表し、議論した。病理技師にとり日々経験する身近な内容で、大いに参考になったものと考える。
「病病連携」をテーマにしたシンポジウムでは中島明彦先生(徳洲会病理部会副部会長)が座長を務め、シンポジストとして長澤光久氏(福岡)、西川裕子氏(八尾)、中谷翔喜氏(名古屋)が事例を発表し、技師の立場から病病連携について議論した。病理部会活動の基軸である”保険医療機関間の病病連携による病理診断”をシンポジウムで取り上げ会員への熟知を図った。
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一般演題
6名の病理医師・技師による講演には活発な意見交換が行われた。学術集会の回を重ねることにより、病理技師の発表、討論の技術に向上がみられる。
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報告
中塚伸一先生(徳洲会大阪病理診断研究センター長)が調査責任者として2023年度徳洲会病理部会技師職場環境調査及び精度管理調査報告が行われた。データ基づく具体的な内容報告により、今後とも、働きやすい職場環境の整備、医療の質を担保する精度管理に努めることの必要性が述べられ、参加者一同大いに啓発された。
中塚 伸一先生
(徳洲会大阪病理診断研究センター長)寺田信行先生(病理部会副部会長)より、本年度より運用が承認された”徳洲会病理運営機構の横断的経費”について、これまでの実績と今後の運用予定が紹介され、参加者の理解を深めることができた。
寺田 信行先生
(徳洲会病理部会副部会長) -
総会
徳洲会病理部門最高顧問の青笹克之先生により、徳州会病理部会の業務人員の現況が報告された。次いで、①病理センターにおける病病連携の進捗状況の報告、②名古屋徳洲会病院病理診断科の病理センター化が承認されたこと、③徳洲会病理運営機構の横断的経費運用状況の説明、④10月6日開催の病理部会幹部会報告、⑤前立腺生検における検体取違え事例が発生したため、精度管理委員会において、実情のアンケート調査及び対応策として”病理検体取り扱いマニュアルの作成“を計画していることの説明、⑥専任病理医の勤務病院においては病理診断科を設置すること、そして病理診断科運用規則を作成中であることを説明した。
鍋島 一樹先生
(徳洲会九州・沖縄病理診断研究センター長)最後に鍋島一樹先生(徳洲会九州・沖縄病理診断研究センター長)が挨拶し、閉会した。学術集会も回を重ねるごとに発表、討論の技術向上がみられる。また、意見交換も活発で実りある集会となった。徳洲会病理運営機構の横断的経費の使用がこの4月より開始され、部会員相互の業務協力、学術交流が活発化してきたことが根底にあるものと考えられる。
2024年11月の第11回学術集会は千葉県で開催する予定である。