第3回徳洲会病理部会学術集会

第3回徳洲会病理グループ学術集会

日時 平成28年5月28日(土)午後5時00分~午後7時00分
平成28年5月29日(日)午前9時00分~午後1時00分
場所 湘南藤沢徳洲会病院 3階講堂
内容 特別講演 田丸淳一先生(埼玉医科大総合医療センター)
「悪性リンパ腫の診断」
一般講演 募集は締め切らせて頂きました
対象:徳洲会グループ施設所属職員
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第3回徳洲会病理グループ学術集会

平成28年5月28日,29日 会場:湘南藤沢徳洲会病院

第3回学術集会は総勢55名(医師14名、技師39名、その他1名)が参加して病理学的知見についての発表がなされ活発な意見交換が行われた。

  1. 学術集会の準備

    徳洲会グループの病理学術集会は原則として日本臨床細胞学会に合わせて開催することにして、経費の節減に努めている。2015年度の細胞学会の開催地は、春は松江市、秋(平成27年11月22、23日)は名古屋市であったことから、経費面及び利便性を考慮して、第2回学術集会は名古屋市の開催とした。一方、2016年度の臨床細胞学会の開催地は、春は横浜市、秋は大分市であることから、第3回学術集会は春の開催とした。交通の便も考えて湘南藤沢病院を会場とすることとして、篠崎病院長に会場使用の許可を頂いた。第2回と第3回までには約半年の間隔しかなく、又、2016年の日本臨床細胞学会は国際細胞学会との同時開催となったことにより、学会参加費が通常より大幅に上昇したことが此度の参加者が微減した一因と考えている。

  2. 学術集会の概要

    学術集会は湘南藤沢徳洲会病院病理診断科の中野雅行先生を世話人とし、藤沢病院病理を中心とした職員のご協力により、病院講堂を使用して開催された。

  3. 学術発表

    (1)特別講演

    演者:田丸淳一 埼玉医科大学総合医療センター教授
    演題:悪性リンパ腫の診断

    WHO分類の最近の動きを中心にリンパ腫分類の状況が解説され、この分野の複雑さが実感された。

    田丸淳一先生

    田丸淳一先生

    (2)一般演題

    7題の口演が行われた。筆頭演者は医師3名、技師4名であった。いずれの演題でも討論が行われたが、未だに活発さの点で充分とは言えなかった。討論内容については学術集会を重ねる毎に向上しているように感じられた。

    (3)シンポジウム「病理診断における精度管理」

    モデレーターの居石克夫徳洲会九州・沖縄病理診断研究センター(T-KOP)長の巧みなアレンジにより、充実した発表となった。特に病理技師の発表はレベルの高いものがみられ、今後の展望を明るいものとした。演者、演題は以下の通り。

    • ①金城満(製鉄記念八幡病院顧問)
      「病理・細胞診の診断精度―特に尿路上皮腫瘍を中心として―」
    • ②中村祥子(宇治徳洲会病院)
      「病理検査のインシデント対策の現状と問題点~特に検体の受領について~」
    • ③青柳瑛子(札幌東徳洲会病院)
      「肺がんの病理検査における遺伝子検査の運用方法の現状と問題点」
    • ④岩﨑由恵(八尾徳洲会総合病院)
      「セルブロック法の現状と問題点」

    シンポジウムで特記すべきはわが国の細胞診断の分野で指導的立場にある金城満先生による講演である。丁寧かつ着実なデータを基にした分かりやすい発表は参加者に多大の感銘を与えた。

    金城満先生

    金城満先生

  4. 病理運営委員会

    (1)医師委員会

    議事録に示す通りである。(運営会議議事録参照

    • 徳洲会九州・沖縄病理診断研究センター(T-KOP)について、居石センター長よりこれまでの経過、現況、問題点が説明された。T-KOPの確立、始動が病理部門の現下の最重要課題であることを確認した。
    • 常勤病理医の勤務する施設においては病理診断科の一般検査部門からの独立が、今後の病理体制の充実、発展に必須であることを確認した。この点について今後は機会を設けてセミナー、幹部会などで説明していくことにした。
    • ホームページの現状と課題について、病理事務局の小林由紀恵氏から説明がなされた。一層の充実を計っていくことを確認した。
    • 学術集会の発表内容についての倫理面の審査については、大阪大学医学部で長く倫理委員会委員を務めた青笹が応募抄録の倫理面の評価を行うこととし、問題点のある例については九州大学医学部で倫理委員会委員を務めた居石克夫先生に相談するという体制で運用することとした。
    (2)技師委員会
    • 徳洲会施設の病理標本作製能力の向上を目的として、第2回精度管理調査を2016年初めに実施した。2015年の第1回調査時より、標本の質の向上を認めた。
    • 2017年度開催予定の学術集会は徳洲会九州沖縄病理診断研究センターの設置されている福岡徳洲会病院で秋の学会時(平成29年11月18、19日)に開催する方向で検討することとする。
    • 徳洲会病理部門のホームページの充実について意見交換した。
    • 徳洲会のスケールメリットを生かして細胞診を中心として学術活動を展開することについて意見交換した。
  5. 総会(全体集会)

    病理運営委員会での検討内容が報告された。学術委員のうち技師委員一名の辞職に伴い、立津千絵氏を選任することを諮り承認された。
    尚、会の初めに青笹より、本学術集会を開催するに至った経緯が説明され、参加の一層の活発さ、積極性を求める発言がなされた。

  6. 懇親会

    山下憲一先生(八尾徳洲会総合病院)のご挨拶と乾杯のご発声に続いて歓談に入り、和やかな雰囲気のもとでの交流となった。

    懇親会

    懇親会の様子

  7. 総括

    徳洲会本部のご理解により徳洲会病理グループ学術集会も回を重ねることが出来た。一定の成果も出ている反面、克服すべき課題も山積しているように考える。問題点を正確に把握し、対策を考える中で、徳洲会病理の充実、発展を追求し、徳洲会医療の発展の基盤を形成していきたいものと考えている。今後の一層のご支援をお願い申し上げるものです。

以上
平成28年6月8日
徳洲会病理部門最高顧問
青笹 克之