研修カリキュラム
コアコンピテンシーの研修(医療倫理、医療安全、院内感染対策など)
医療現場における医の倫理、医療安全、院内感染対策はますます重要になっていますが、当然病理の研修においても重要な位置を占めています。医の倫理、医療安全、院内感染対策を正しく理解し、国民に対して病理学的観点から疾病予防、環境作りに貢献します。「人を対象とする医学系研究に対する倫理指針」を正しく理解し、対応できるようにします。本プログラムでは、①医の倫理、②医療安全、③感染対策に関する必須研修を毎月開催しています。①②③の研修に毎年それぞれ1回ずつの参加を義務付けています。また3年の期間中に、臨床研究実施のために必要な基礎研修を受けていただきます(参考資料添付1,2,3)。
臨床現場での学習
・専門医研修手帳の内容に沿って研修します。
・指導医は、専門医研修手帳と別に定める指導医マニュアルに沿って指導を進めます。
・基本領域からサブスペシャリティ領域へと連続的な育成過程を示し、各専門研修過程で修得すべき事項を明確に設定します。
・また、基本領域で修得した事項はサブスペシャリティ領域の修得事項に積み上げることができるようにします。
病理組織診断
基幹施設である湘南鎌倉総合病院と連携施設(1群と2群)では、3年間を通じて病理組織診断の研修を行います。基本的に診断が容易な症例や症例数の多い疾患を1年次に研修し、2年次以降は希少例や難解症例を交えて研修をします。2年次以降は各施設の指導医の得意分野を研修します。いずれの施設においても研修中は当該施設病理診断科の業務当番表に組み込まれます。当番には生検診断、手術材料診断、術中迅速診断、手術材料切り出し、剖検、細胞診などがあり、それぞれの研修内容が規定されています。各当番の回数は専攻医の習熟度や状況に合わせて調節され、無理なく研修を積むことが可能です。
なお、各施設においても各臨床科と週1回~月1回のカンファレンスが組まれており、担当症例は専攻医が発表・討論することにより、病態と診断過程を深く理解し、診断から治療にいたる計画作成の理論を学ぶことができます。
剖検症例
剖検(病理解剖)に関しては、研修開始から最初の5例目までは原則として助手として経験します。以降は習熟状況に合わせますが、基本的に主執刀医として剖検をしていただき、切り出しから診断、CPCでの発表まで一連の研修をしていただきます。またhands-on-trainingとして積極的に剖検の助手を経験していただきます。その際に剖検前のイメージトレーニングと剖検所見の詳細な記録を実行させる、剖検、切り出し、標本作製手技をトレーニングする設備の充実を図ります。連携施設で研修中に当該施設の剖検症例が少ない場合は、他の連携施設や基幹施設の剖検症例で研修をしていただきます。
臨床現場を離れた学習、学術活動
・病理学会(総会及び各支部交見会)などの学術集会の開催日は専攻医を当番から外し、積極的な参加を推奨しています。また3年間に最低1回は病理学会(総会及び各支部交見会)で筆頭演者として発表し、可及的にその内容を国内外の学術雑誌に報告していただきます。
・研究活動や診断業務を遂行する上で必要な法規等の内容についての学習も、次に示すような機会を利用して行えるよう考慮します。
・病理学会総会や各支部の学術集会や各種研修セミナーなどで以下のような機会を作ります。将来的にE-learningや病理学会ホームページ上の情報なども利用できるシステムができれば活用する。
1)国内外の標準的病理診断法および先進的・研究的診断理論を学習する機会、
2)医療安全等を学ぶ機会、
3)指導法、評価法などを学ぶ機会。
自己学習環境
専門研修期間内に、専攻医マニュアル(研修すべき知識・技術・疾患名リスト) p.9~に記載されている疾患、病態をすべて経験することができない可能性があるため、病理学会で作成している各種診断講習会、各種癌取扱い規約などの参考書、学会ホームページ上のコア画像等による自己学習について推奨しています。
専門研修中の年度毎の知識・技能・態度の修練プロセス
・研修カリキュラムに準拠した専門医研修手帳に基づいて、現場で研修すべき学習レベルと内容が規定されています。
Ⅰ.専門研修1年目
・基本的診断能力(コアコンピテンシー)
・病理診断の基本的知識、技能、態度 (Basic/Skill level Ⅰ)
Ⅱ.専門研修2年目
・基本的診断能力(コアコンピテンシー)
・病理診断の基本的知識、技能、態度 (Advance-1/Skill level Ⅱ)
Ⅲ.専門研修3年目
・基本的診断能力(コアコンピテンシー)
・病理診断の基本的知識、技能、態度 (Advance-2/Skill level Ⅲ)
Ⅳ 日課(タイムスケジュール)(湘南鎌倉総合病院の研修を例に示します)
生検当番 | 切出当番日 | 解剖当番日 | 当番外(例) | |
午前 | 生検診断 | 手術材料切出 | 病理解剖 | 手術材料診断 |
(随時)迅速診断、生材料受付 | 小物(胆嚢、虫垂など)切出 | |||
午後 | 指導医による診断内容チェック | 小物(胆嚢、虫垂など)切出 | 追加検査提出、症例まとめ記載 | 解剖症例報告書作成カンファレンス準備カンファレンス参加 |
修正 | 手術材料 切出 |
週間予定表(湘南鎌倉総合病院の研修を例に示します)
月曜日 腎病理カンファランス(隔月)、
火曜日 消化器病カンファランス(毎週)、婦人科病理カンファランス(隔月)
水曜日 乳腺病理カンファランス(毎月)、血液・リンパ腫病理カンファランス(隔月)
木曜日 CPC(毎月)
金曜日 呼吸器病理カンファランス(毎月)
年間スケジュール(湘南鎌倉総合病院の研修を例に示します)
1月 新年会
3月 歓送迎会
4月 病理学会総会
5月 臨床細胞学会総会
6月 徳洲会病理グループ学術集会
7月 病理専門医試験
10月 病理学会秋期総会
11月 臨床細胞学会総会
12月 忘年会