徳洲会病理部会 16病院が集まり研鑽 T-KOP現状報告も

徳洲会病理部会は福岡徳洲会病院で第4回学術集会を開催した。16病院から医師、細胞検査士、臨床検査技師など約40人が参加。第3回からこれまでの間に、徳洲会九州・沖縄病理診断研究センター(T-KOP)が業務を開始、この報告や各病院の取り組みなど発表があった。

細胞診委員会を立ち上げたことを報告する青笹・最高顧問

学術集会は1日目に一般演題6題と総会、懇親会、2日目に細胞診をテーマにした特別講演とシンポジウム5演題という盛りだくさんの内容で実施。参加者は積極的に情報共有に努め、活発に意見交換を行った。

1日目の冒頭、海江田令次・福岡病院院長、居石克夫T-KOPセンター長、青笹克之・徳洲会病理部門最高顧問がそれぞれ挨拶。青笹・最高顧問は「細胞診委員会を立ち上げました。この活動をとおして、さらなるレベルアップを図っていきたいと思います。また、今後は学会発表も積極的に実施していきましょう」と呼びかけ、開会した。

一般演題では福岡病院の中島明彦・病理診断科部長、長澤光久・臨床検査技師主任が「T-KOPの現状報告~病理医および技師の立場から~」と題し発表。T-KOPとは九州・沖縄のグループ病院(10病院が参加)の病理診断を一括受託するセンターで、2016年12月から業務を開始、病理組織件数は年間1万件を超える勢いだ。発表では業務の流れを説明し、インシデント(事故などの発生の恐れがある事態)につながる事例に注意喚起、医師と技師の立場からそれぞれ今後の課題を報告した。

2日目の特別講演では亀井敏昭PCL福岡病理・細胞診センター所長が「体腔液(たいくうえき)細胞診における中皮腫細胞診の現状と課題」をテーマに講演。アスベストの吸引が主な原因で発症する中皮腫は体腔液細胞診で診断する。講演では腺がんや反応性中皮との鑑別方法を説明し、早期発見の重要性を強調。「中皮腫細胞診所見の幅広さを認識すべきです」と締めくくった。

「今回勉強したことを資産にしましょう」と居石センター長

シンポジウムでは、基調講演として病理部会アドバイザーである金城満・製鉄記念八幡病院検査部部長(顧問)が「徳洲会病院の細胞診体制:人材育成と精度管理」と題し講演。同シンポジウムの主旨を説明するとともに、人材育成と精度管理の基本的な考え方を示した。続いて、具体的な教育方法、業務をしながら細胞検査士の資格取得を目指した事例2演題、細胞診の精度向上や若手育成に向けたグループの取り組みについて、それぞれ発表があり、これらをベースに参加者は討論した。

最後に居石センター長が「学術集会は定期的に開催していきます。今回勉強したことを資産にして、ポジティブに業務を進めていきましょう」と挨拶し、閉会した。